外界にある一切の世界は

完全に空っぽ（虚空）です。

だから、日々の世界を

普通に虚空だと見なしていくなら、

まさにそれが瞑想です。

「世界はいっさい空（くう）だ」という視点を持ち、

瞑想的に生き始めると、

驚くようなことが徐々に起こってくる。

ひとりでに変化が起こり、

あなたは貪欲でなくなる。

世界の事物がすべて「空」であるなら、

外側に貪欲になっても意味が無い。

あなたは野心的でなくなる。

大統領の椅子や、社長の椅子や、

大金持ちの椅子などが、

全く空虚なものであることが分かって、

興味を持たなくなる。

私たちがそういうものに「実体」を与え過ぎ、

必要以上にリアルな現実として

仕立てあげている時には、

必ず野心が生まれてくる。

目標や理想や願望が芽生えてくる。

私たちを取り囲むこの物理世界は全て空であり、

表面の姿カタチがとめどなく

移り変わっていく夢のようなものだと見なす。

このような見なし方、このような瞑想状態を

淡々としばらく続けると、突然、

あらゆるものが虚ろになる。

街並みも、人々も、家も、そこにあるし、

表面的には何も変わらないけれど、

突然、実体を感じなくなり、

うつろな影だけになる。

外界がうつろな影になった時、

その時初めてあなたの内なる愛の光は強くなり、

その生きた光が

うつろな外界へと輝き出していく。

私たちが映画館に入って画像をみるとき、

スクリーン上に映っているのは

うつろな投影に過ぎないことは

重々承知している。

でも、その影にだまされて取り込まれていく。

あまりにも影に夢中になり過ぎてしまい、

影に実体があるかのように錯覚しはじめる。

私たちが絶えず

「この世界は空であり、夢にすぎない」

と見なし、そのように瞑想し、観照して、

世界は影でしかないと理解が深まっても、

そのことによって全世界が消滅したりはしない。

覚醒した者にも、全世界はちゃんと見える。

ただし、「見え方」が徹底的に異なっている。

彼には、その画像が夢・影・幻なのだと腑に落ちている。

世界が消えるわけではないし、

世界はあり続けるけれど、

そこに向けていた執着するほどの重要性が消え、

あまり実体をもたなくなっている。

そして内と外のバランスがとれてくる。

（つづく）