弥栄（イヤサカ）ということは、自分だけが勝手なことをするとか、一人だけがますます栄えていくということではなく、むしろ全体の大生命を活かすことに集中することを申します。
自分個人のことには淡白で、全体の大生命を輝かせ、さらに栄えさせようと粘り強く進み行くことを言うのです。

だからといって、自分なんかどうでもいいとして自暴自棄になることではありません。
各々が、根本においては「単独の自己」を眼中に置かず、本来はひとつである大生命に合一し、そのうえで自己の特色を発揮していくことが現実人生の素直な生き方です。

私たちの生活は大生命の現れであり、清明心それ自身のあらわれです。
だとすれば、私たちの一挙一投足、一挙一動もそのあらわれです。
火と水による朝の「みそぎ」だけでなく、昼も夜も、その行動の全てが実に深い大きな意味を持つことをあらわします。
そして、その行動全てがみな熱烈な意気込みを通して為されています。

朝起きるのは、内面の神々が「あなたはもう起きなさい」と内部から要求しているのであり、個人はその指令によって起きるのです。
食事をするのも、ただ空腹を埋めるために食べるという浅はかな心がけから行なうのではありません。
神々による「あなたは食事をしなさい」というご命令が、お腹が減った感覚として現れているだけです。

私たちの内部から起こってくる欲求は、雄大なものから些細なことまで、全ては神々が内部からささやきかけているものばかりです。
ですから、これらの欲求は貴賎の区別なく、みな「神ながらの欲求」といえるのです。
食事をするのでさえもそうですから、一日の中の極めて複雑な種々の活動に至っては、全てがことごとく神々の欲求ですから、常にハツラツと明るく清い思いで取り組んでいかねばなりません。
神の欲求は、この個人の身体を通じてしか叶えることができないのです。

全ての生活の営みが神の欲求であるのだから、決してないがしろにしていいものなどありません。
たとえ、商売やビジネスをするうえでも、損得勘定の考えや、お金が先に頭にのぼるような浅はかなものであってはなりません。
自分が商売を営んで弥栄（イヤサカ）になるということは、他者はどうでもいいということではありません。
むしろ、自分の行動が国や世界の繁栄につながり、それを通じて人類の繁栄を実現しようという、その表現方法としてお金を得ていくのです。